アニメ「無職転生~異世界行ったら本気だす~」第1話のあらすじと感想をまとめています。
感想には独断と偏見と原作をもとにした解説と、軽いネタバレが含まれていることをご了承ください。
「無職転生~異世界行ったら本気だす~」について

「無職転生~異世界行ったら本気だす~」は、小説投稿サイト「小説家になろう」で2012年から2年半ほど連載されていたオンライン小説が原作(作者は理不尽な孫の手)です。
2014年1月からKADOKAWAにより小説版が、2014年6月から「コミックフラッパー」で漫画版が発行されています。
WEBコミック「ComicWalker」では、「無職転生」で人気の高いヒロインの一人、ロキシーを主人公にしたスピンオフ作品「無職転生〜ロキシーだって本気です〜」が連載されています。
2021年1月からアニメ版(第1クール)が、スタジオバインド制作で放送されています。
第1話「無職転生」感想と解説

第1話「無職転生」あらすじ
34歳・童貞・無職の引きこもりだった男は車に撥ねられ、その一生を終える・・・はずだった。
しかし、男が次に目を覚ましたとき、そこは剣と魔法の異世界であった。
少年・ルーデウスとして転生した男は考える、この世界ならば、自分も本気で生きていくことができるかもしれない・・・と。
引用元:dアニメストア
アニメ「無職転生」第1話はライトノベル1巻に収められています。
30代男性トラックにはねられる
雨の中、救急車のサイレン音と「大丈夫ですか、聞こえますか?」という声。
交通事故の現場に集まった野次馬が「悲惨だな」「あれはダメだな」とささやいている。
トラックにはねられたのは30代中盤の男性で、大量出血で意識不明の重態だった。

(そういや俺、トラックに・・・)
警察無線から「同じくはねられたとみられる高校生二人は、いまだ行方不明につき、現在捜索中。至急応援を頼む。どうぞ」と聞こえる。
(あの三人は、助かったのか・・・)
男性は病院に運ばれるが、状態が急変して手術室で死亡する。
(ああ、死ぬのか、俺。まあいいか、どのみち人生詰んでたからな。ああ、でもせめて童貞くらい卒業したかった)
どこからか聞き覚えのない言葉が聞こえ、男性の意識が戻る。
目を開けると、目の前に若い男女がいる。
若い男女は両親で、父親の名前はパウロ、母親はゼニスだった。
(どうやら俺は生まれ変わったらしい。まさかそんな妄想めいたことが現実になるとはな)
男性は二人の間にできた赤ちゃんになって転生したのだと悟る。

「無職転生」第1話は、交通事故の場面から始まりました。
前世の人物がいきなり交通事故に遭うのは、異世界系作品で最速ではないでしょうか。
前世の男性の声は、杉田智和(すぎたともかず)さんが担当しています。
杉田智和さんの代表作には、「銀魂」の坂田銀時役や「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョン役などがあります。
男性の怪我は相当ひどかったようで、アニメが始まって1分半ほどで前世の幕を閉じてしまいました。
男性はパウロとゼニスの長男として異世界に転生します。
パウロ・グレイラット役は森川智之(もりかわとしゆき)さん、ゼニス・グレイラット役は金元寿子(かねもとひさこ)さんが担当しています。
森川智之さんは外国映画の日本語吹き替えを多くやっていて、トム・クルーズやキアヌ・リーブスなどのイケメン俳優を多数担当しています。
金元寿子さんの代表作には、「侵略!イカ娘」のイカ娘役や「機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズ」のアトラ・ミクスタ役などがあります。
じつは二人の長男として生まれてくる赤ちゃんは死産でしたが、そこに前世の男性の魂が入り込んだことで無事に生まれてくることができました。
前世の男性はアニメでは生後すぐに目の前の若い男女(パウロ19歳、ゼニス17歳)を両親だと認識しますが、原作では生後一か月ほどかかっていました。
交通事故の現場で行方不明になった高校生二人のうちの一人とは、ずっとのちに主人公と深く関わることになります。
パウロについてのくわしい記事はこちら
元後宮侍女リーリャの直感
家の中を高速ハイハイで動き回るルーデウスをゼニスが探している。
(どうやら俺の名前は、ルーデウスというらしい。半年もすると、言語もそれなりにわかるようになってきた。まだ年齢が若いせいか、物覚えが異常にいい気がする)

ルーデウスはトイレをのぞいて臭がったり、水がめを倒して服を濡らしたり、洗濯おけに放り込んである女性の下着の匂いをかいだりしている。
メイドのリーリャは、女性の下着を頭にかぶってリーリャをいやらしい目で見てくるルーデウスを不気味に感じる。

ゼニスがルーデウスを抱き上げ、「一人で動き回ったらダメじゃないの。これはかぶる物ではありません」といって下着をはぎ取る。
リーリャが意を決して「ルーデウス様には、何か悪いものが・・・」といいかけるが、途中でやめる。
「子どもだもの、間違って下着くらいかぶるわよ」と、ゼニスはまったく気にしていなかった。
ルーデウス・グレイラットの声は、内山夕実(うちやまゆみ)さんが担当しています。
内山夕実さんの代表作には、「結城友奈は勇者である」の犬吠埼風役や「きんいろモザイク」の猪熊陽子役などがあります。
リーリャの声は、Lynn(りん)さんが担当しています。
Lynnさんの代表作には、「君の膵臓をたべたい」の山内桜良役や「ハイスクール・フリート」の宗谷ましろ役などがあります。
下着をかぶってニタ~ッと笑う幼児なんて、リーリャでなくても気持ち悪いですよね。
リーリャは元アスラ王国後宮付きの近衛侍女でしたが、諸事情あってグレイラット家でメイドをしています。
近衛侍女として働いていたころ、リーリャの胸をいやらしい目で見てくるでっぷり太ったハゲ頭の大臣がいましたが、ルーデウスの目はエロ大臣のそれと似ていて、リーリャは嫌悪感を覚えていたようです。

リーリャはルーデウスに何か悪いものが憑いているか呪われていると思い、パウロたちには内緒で故郷に伝わる魔除けを行ったこともあります。
もちろん魔除けは効果がありませんでしたが、リーリャはルーデウスの中にいる34歳童貞ニートが放つ邪悪な雰囲気を感じ取っていたのかもしれません。
一方、ゼニスはルーデウスが我が子だからか、授乳の際に乳首をなめられてもちょっと不思議に思う程度で、それほど気にしていませんでした。
リーリャについてのくわしい記事はこちら
転生した世界は剣と魔法の世界
ルーデウスが窓の外を眺めている。
前世で見たことのあるヨーロッパの田舎の景色が、窓ガラスの向こうに広がっていた。
家の中には電気もガスもないことから、ルーデウスは一体いつの時代だろうかと考える。

窓の外で音がしたので見ると、庭で剣の稽古をしているパウロの姿が目に入った。
(ちょ、え? なにやってんの?)
剣を振り回すパウロを見て驚いたルーデウスは、バランスを崩して後ろに転倒してしまう。
窓の側に置いてある椅子の上に立っていたので、高い位置から落ちて後頭部を強く打ってしまった。
ゼニスが悲鳴を上げながら、ルーデウスにあわてて駆け寄る。
ゼニスは頭を強く打っても泣かないルーデウスを見て「大丈夫かしら?」と思いつつ、念のためにおまじないをかけてあげると言う。
おまじないと聞いてルーデウスは「痛い痛いの飛んでけ」かと思ったが、ゼニスは何かの呪文を唱え始めた。
「ヒーリング!」と詠唱を終えると、ルーデウスの後頭部の痛みがすっかり消え去った。

ゼニスが唱えた言葉はおまじないではなくて、治癒魔術だった。
「ママこう見えても昔は冒険者やってたのよ?」と得意げに言うゼニス。
ゼニスの悲鳴を聞いて駆けつけたパウロとゼニスがイチャイチャする。
剣を振り回す父親と治癒魔術を操る母親を目の当たりにしたルーデウスは、自分が転生した世界が地球ではなく、別の世界であることを確信する。
ゼニスの治癒魔術で、初めて異世界系作品らしい魔術の表現が出ましたね。
ゼニスが詠唱したヒーリングは初級の治癒魔術です。
ゼニスは「黒狼の牙」という冒険者パーティーで治癒術士として活躍していました。

治癒魔術と解毒魔術の中級を習得していて、現在は村の診療所を手伝っています。
家のお母さんが詠唱ひとつで大抵の病気や怪我を治せるのは心強いですよね。
パウロも「黒狼の牙」の元メンバーでリーダーを務めていました。
ゼニスがルーデウスを身ごもったことをきっかけにパーティーを解散しています。
ゼニスについてのくわしい記事はこちら
ルーデウス初級魔術に成功
月日が流れ、ルーデウスは足腰がしっかりしてきてけっこう歩けるようになった。
這うようにしながら階段をのぼり、二階へも行けるようになっていた。
二階の空き部屋に置いてあった宝箱の中で、大きくて厚い5冊の本を見つける。
さらに一年ほどが経過して、ルーデウスは最も興味を持った「魔術教本」を読みふけっていた。

パウロに読み聞かせをしてもらっていたおかげで、文字はある程度読めるようになっていた。
「魔術教本」の「個人の魔力量は生まれた時にほぼ決まっている」という記述が気になったルーデウスは、自分も魔術が使えるかどうか試してみる。
ルーデウスが初級の水魔術ウォーターボール(水弾)を詠唱すると、手の平の先にソフトボール大の水のかたまりが出現した。

ルーデウスは自分に魔術が使えたことに驚くが、前に飛んでいかないことに不満を持つ。
ウォーターボールを飛ばそうと再度試してみると、偶然に詠唱なしで発動させることができた。
しかしウォーターボールを二発出したあとルーデウスは後ろに倒れてしまい、出現させていたウォーターボールが股間に落ちてしまう。
(あれ? 俺のMPこんだけ?)
ルーデウスはそのまま気を失ってしまった。
「もう、ルディったら。眠くなったらちゃんとトイレに行ってベッドに入らなきゃダメでしょ?」
ゼニスに居眠りしておねしょしたと勘違いされて、ルーデウスは悔しがる。
ルーデウスは1歳になっています。
二階の空き部屋は一応パウロの書斎になっているようですが、まあ普通に空き部屋です。
宝箱の中に入っていた5冊の本は以下のタイトルでした。
- 「世界を歩く」
- 「フィットアの魔物の生態・弱点」
- 「魔術教本」
- 「ペルギウスの伝説」
- 「三剣士と迷宮」
どれもおもしろそうですが、ルーデウスでなくてもやはり「魔術教本」には興味を引かれますよね。
ルーデウスが「この世界では本が高価であるのか、パウロやゼニスが読書家ではないのか」といっていましたが、この世界の本はものすごく高価です。
のちにゼニスがルーデウスに「植物辞典」を買ってあげる場面がありますが、そのお値段が推定でアスラ金貨7枚ほど(日本円で約70万円)します。
それを踏まえると、「魔術教本」などはアスラ金貨10枚(約100万円)くらいの価値があるのではないでしょうか。
その「魔術教本」ですが、ルーデウスが2歳になるころにはけっこう読めるようになりました。
文法は日本語と同じだったので、単語を覚えるだけでよかったようです。
ルーデウスは魔術を練習していることを家族に内緒にしているので、ゼニスにおねしょしたと誤解されたとき、「おねしょじゃない、魔力切れで気絶したんだ」と言い訳することができませんでした。
シルフィエットについてのくわしい記事はこちら
ルーデウス詠唱の仕組みを解明
その後もルーデウスはウォーターボールの練習に取り組んだ。
いくつかの季節を経て、ルーデウスは「魔術教本」の記述に間違いがあることを確信する。
魔力量は使えば使うだけ増えるし、詠唱なしでも魔術は使えるということを。
しかしそれならなぜ詠唱が必要なのかがどうしてもわからない。
詠唱の必要性はわからないまま、魔力量の総量を増大させるために、ルーデウスは魔力切れを起こしながら魔術の練習に励んだ。

一方、パウロとゼニスは若い夫婦らしく夜のお勤めに励む。
「ああ!あなたぁ、もうダメえぇ!」
壁が薄いのかゼニスの声が大きいのか、ルーデウスの部屋まで丸聞こえだった。
そんなある日、ルーデウスはついに詠唱の仕組みを解明した。
(この魔術は生成、サイズ設定、射出速度設定、発動のプロセスをたどっているのだ)

壁に描いたマトに適度な大きさのウォーターボールを上手に当てるルーデウス。
(たぶん間違ってないと思う。俺は射出速度の設定をしてなかったから飛ばなかったんだ)
ルーデウスは詠唱なしの水魔術の初級を独学で習得した。
魔術は使った回数だけ増えることをルーデウスは突き止めます。
たとえば今日5発で魔力切れになったなら明日は10発で魔力切れ、明後日は20発で魔力切れという感じです。
ルーデウスは毎日限界まで魔力を使って魔力量を増やしていくと同時に、全系統の初級魔術を習得することを目標にしました。
しかし詠唱の仕組みがわかっていないので、水魔術はもちろん、火魔術や風魔術を作ることはできても前に飛ばすことができません。
やっと詠唱の仕組みがわかってルーデウスは飛び跳ねてよろこんでいましたが、自分で試行錯誤して突き止めた結果なので余計にうれしかったようです。
ゼニスとパウロは声を抑えることなく夫婦生活を送っていますが、これがのちに大きな問題に発展することになります。
オルステッドについてのくわしい記事はこちら
中級魔術は想定外の威力
「そろそろ魔力量も増えてきたし、中級魔術を試そう」
初級魔術を習得したルーデウスは、中級魔術に挑戦しようと考える。
ルーデウスは「魔術教本」を見ながら、中級魔術スプラッシュフロウ(水砲)を詠唱した。
詠唱しているあいだに、中級魔術が初級魔術とはだいぶ雰囲気が違うことに気づく。

ルーデウスが発動した中級魔術は目の前の壁をぶち破り、丘の向こうまで飛んでいった。
二階で大きな音がしたので、あわてて駆けつけるパウロとゼニスとリーリャ。
パウロは壁に開いた大穴に驚くが、原因が何なのかわからない。
中級魔術のページが開かれた「魔術教本」にゼニスが気づく。
ゼニスはにんまりした笑顔で、「ルディ、もしかしてこの本、口に出して読んじゃった?」と尋ねる。

ルーデウスはためらいながら「ごめんなさい」と謝る。
異端審問にかけられ火あぶりにされやしないかとビクビクしていたルーデウスの意に反して、ゼニスは「やっぱりうちの子は天才だったんだわ!」と大よろこびする。
すぐに魔術の教師を雇ってすごい魔術師に育てようと提案するゼニス。
男の子が生まれたら剣士にする約束だったろうと意見するパウロ。
子どもの育て方でケンカを始めてしまう二人を尻目に、後片付けを済ますリーリャ。
「午前中は魔術、午後から剣術を学べばいいのでは?」
リーリャが折衷案を提示して、犬も食わない夫婦喧嘩はすんなりと収まった。
3歳にして初級魔術を習得したルーデウスは、すぐに中級魔術も発動させてしまいました。
毎日地道に訓練していたおかげで、いつの間にか魔力量がすごく増えていたようです。
中級の水魔術スプラッシュフロウはブエナ村の麦畑ににわか雨を降らせて、きれいな虹までかけていました。
「やっぱりうちの子は天才だったんだわ!」とゼニスは我が子の才能を飛び跳ねながらよろこびました。
パウロから文字を教わっただけで難しい本を読み、壁に大穴を開ける威力の中級魔術をぶっ放すなんて、魔術の訓練をしたことのあるゼニスだから、そのすごさが理解できたのではないでしょうか。
ギレーヌについてのくわしい記事はこちら
ロキシー・ミグルディア登場
グレイラット家で魔術の家庭教師を雇うことになった。
パウロとゼニスの予想によると、「来るのは恐らくすでに引退した冒険者で、長年魔術師として研鑽を積んだ中年か老人で、ヒゲをたくわえたまさに魔術師って感じのが来るだろう」ということだった。
しかしやって来たのは、ルーデウスいわく「ヒゲどころかアソコの毛も生え揃ってなさそうなのが来た」という見た目のロキシー・ミグルディアだった。

ロキシーは小さいルーデウスに「小さいんですね」といわれて、「あなたにいわれたくありません」といい返す。
ロキシーは自分が魔術を教える生徒がまだ3歳の子どもと聞くと、「たまにいるんですよね、ちょっと成長が早いだけで子どもに才能があるとか思い込んじゃうバカ親」と辛辣な独り言をつぶやく。
こんな子どもに魔術の理論がわかるのかと疑わしく思うロキシーと、うちのルディちゃんはとっても優秀なんだから!とまさにバカ親っぽいことをいうゼニス。
二人がやり取りしたあと、さっそく魔術の勉強が始まった。
パウロはこの地方の駐在騎士を任されている下級貴族なので、子どもに家庭教師をつけられるくらいの経済的余裕がありました。
パウロが任されている地方はアスラ王国の北東にあるフィットア領ブエナ村で、国の辺境にある田舎です。
世界地図の西側にある大陸が中央大陸で、さらに中央大陸の西側にあるのがアスラ王国です。

アスラ王国フィットア領の最北端にブエナ村があります。

なぜパウロとゼニスが家に来る家庭教師は元冒険者で中年か老人かと予想したかというと、教師ができるのは上級魔術以上を習得している者なので、上級持ちの冒険者か宮廷魔術師になり、もし宮廷魔術師なら王都でいくらでも仕事があるから来ない、冒険者は若ければ現役で冒険しているから来ない、引退していてもこんな田舎に若者は来たがらない、という理由からでした。
ところがやって来たのは小柄な魔法少女だったので、パウロとゼニスは呆然としてしまったというわけです。
ロキシー役は、小原好美(こはらこのみ)さんが担当しています。
小原好美さんは代表作に、「まちカドまぞく」の吉田優子/シャミ子役や「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」の藤原千花役などがあります。
ロキシーは魔族のミグルド族で、種族名が姓になっているのでロキシー・ミグルディアといいます。
小柄な体格はミグルド族の特徴ですが、その幼く見える外見で苦労してきた経験があったせいで、「小さい」はロキシーのコンプレックスになっています。
しかしロキシーはこう見えて聖級魔術師であり、冒険者ランクA級を持つ元冒険者でもあります。
ロキシーについてのくわしい記事はこちら
ロキシーのパンチラで詠唱はしょる
ロキシーが魔術の基本を説明しているあいだも落ち着かない様子のルーデウス。
ルーデウスの様子を気にしながら、ロキシーは「お手本を詠唱するので真似してみてください」という。
「詠唱が必要なんですか?」と聞くルーデウスに、ロキシーは「当たり前じゃないですか」と呆れ気味に答える。
ロキシーがウォーターボールを詠唱して発動すると、一本の木に当たってへし折れた。

ルーデウスがその木はゼニスが大事に育てている木だと伝えると、ロキシーはあわててヒーリングで元に戻した。
ルーデウスから中級の治癒魔術が使えることを大げさに褒められて、ロキシーは照れてしまう。
照れたロキシーを見て、「こいつはチョロそうだ」とルーデウスはほくそ笑む。
ロキシーに促がされたルーデウスは、腕を伸ばして魔術発動の準備をする。
しかし詠唱を始めた瞬間に突風が吹き、ロキシーのスカートがひらめいて白い下着が見えた。

パンチラに気を取られたルーデウスは、詠唱の途中で魔術を発動してしまう。
ロキシーに詠唱を端折ったことを問い詰められたルーデウスは、気まずそうに「いつもは詠唱なしでやっている」と白状する。
ロキシーは「なし!?」と驚愕してのけぞり、「これは鍛え甲斐がありそうですね」と不敵な笑みでつぶやく。
前世の男性が引きこもりだったので、ルーデウスも家の外にいると落ち着かない様子ですね。
ロキシーはそういう事情を知りませんから、ルーデウスのことをただじっとしていられない子どもだと思ったのかもしれません。
しかしロキシー、なんでわざわざ柵で囲ってある木を魔術の的にしたんでしょうか。
治癒魔術でつなげられたからよかったものの(花まで咲かせてるし)、下手したら大問題になるところでした。
以前パウロが剣を振り回して木の枝を叩き折ったことがあったのですが、そのときパウロはゼニスにめちゃくちゃ怒られています。
ちなみにルーデウスの詠唱中に神風が吹いてロキシーのパンチラが拝めますが、あのパンチラはアニメオリジナルで原作にはありません。
エリスについてのくわしい記事はこちら
エロゲの知識で励ますルーデウス
家の中からゼニスが「うああああ!」と叫び声を上げた。

ゼニスの視線の先を見ると、庭の木が倒れていくところだった。
先ほどロキシーがへし折って戻した木を、再度ルーデウスがへし折っていた。
ゼニスはロキシーの仕業と勘違いして、「ロキシーさん、うちの木を実験台にしないでちょうだい! まったくもう!」と怒る。
「さっそく失敗してしまいました、明日には解雇ですかね」と落ち込むロキシーに、ルーデウスは前世のエロゲの知識を引っ張り出して励ます。
「先生はいま失敗したんじゃありません、経験を積んだんです。ニッヒヒ」

ロキシーはお礼をいってからルーデウスにデコピンする。
折られた木を元に戻したゼニスが「それよりロキシーさん、中に入りましょう。まずは私たちの紹介もさせて、ね」といってきた。
玄関の前にはパウロとリーリャがいて、パウロがジョッキ片手に「おーい! 早く来ーい!」と呼んでいる。
遠慮するロキシーの手を引いて、ゼニスは家に入っていった。
そりゃあゼニスも大事に育ててきた木が倒れていくのを目の当たりにすれば怒りますよね。
ロキシーはただのとばっちりなんですが。
落ち込むロキシーをルーデウスが「先生はいま失敗したんじゃありません、経験を積んだんです」となぐさめていますが、これはなかなかいいなぐさめ方ですよね。
ロキシーがルーデウスにデコピンするシーンも、ロキシーのルーデウスに対する認識が変わった瞬間を表しているようでいいシーンだと思います。
ルイジェルドについてのくわしい記事はこちら
歓迎会とルーデウスの決意
テーブルの上にはたくさんのごちそうが並んでいた。

パウロは大きなジョッキに注がれた泡っぽいお酒を一気に飲んで宣言した。
「そんじゃ始めるか!ロキシーちゃんの歓迎会!」
全員がおいしそうにごちそうを食べている。
歓迎会の楽しい雰囲気のなかでルーデウスは思う。

(まるで夢のようだ)
(トラックにひかれて死にかけてる俺の・・・)
(いや、もしそうだとしてもかまわない)
(この世界なら、俺にだってできるんじゃないだろうか・・・)
(人並みに生きて人並みに努力して、つまずいても立ち上がって、なお前を向いて)
(できるかもしれない、こんな俺でも)
(無職な引きこもりでクズな俺でも)
(人生をやり直すことが・・・)
(本気で生きていくことが)

ロキシーの歓迎会でテーブルに並んでいたごちそうがすごくおいしそうでしたね。
パウロが飲んでいる泡っぽいお酒は異世界系作品でよく出てくる飲物でしょうか。
ロキシーはパイみたいなものをおいしそうに食べています。
ミグルド族は甘いものが大好きだそうで、ロキシーはとても幸せそうな表情をしています。

パウロは教師募集の依頼を魔術ギルドと冒険者ギルドに出した際、「住み込み」を条件に入れていました。
ブエナ村には宿屋がないので、教師を雇うには「住み込み」しか方法がないのです。
これから同じ屋根の下で一緒に生活することになるので、ロキシーの歓迎会を開いたというわけです。
歓迎会はアニメオリジナルですが、前世の男性が歓迎会の席で、転生した世界で本気で生きていこうと決意する印象深いシーンになっています。
ルーデウスの結婚についてのくわしい記事はこちら
まとめ:第1話の感想と解説について
今回は、第1話の感想と解説についてまとめました。
- 無職童貞の34歳男性が交通事故で死亡し、赤ちゃんになって異世界へ転生する
- 異世界に転生した子どもはルーデウスと名づけられ、やさしい両親のもとで成長する
- 魔術と出会ったルーデウスは3歳で中級魔術を使えるまでに上達して両親を驚かせる
- 魔術の教師をつけることになるが、やってきた家庭教師は少女の外見をしていた
- ルーデウスは詠唱なしで初級魔術を発動してみせ、魔術の教師ロキシーを驚かせる
ここ数年は異世界系アニメが乱発されていたせいで「またなろうか、もうお腹いっぱいだよ」と感じたファンもいたことでしょう。
しかしむしろ「無職転生」は異世界系作品の元祖であり、「満を持してアニメ化された」という表現が正しいかもしれません。
それを証明するようにアニメ作品のクオリティはたいへん高く(この作品のために制作会社を新しく作ったほどですし)、小説版・漫画版のファンの期待にも十分に応えているようです。
アニメの「無職転生」が初見の人には、幼児ルーデウスの気持ち悪さが我慢できない人もいるようですが、それは中身の34歳童貞ニートの気持ち悪さがうまく表現できているということでもあります。
「石の上にも3年、アニメも3話まで」という格言がありますが、切るのはいつでもできるので、せめて3話まで見てもらえれば、ルーデウスの気持ち悪さを越えるおもしろさが伝わってくるのではないかと思っています。
アニメでは何期まで放送されるかわかりませんが、原作では前世でクズ人間だった男性が新しい人生で心を改め、家族や人間関係を大切にしながら成長し、やれることを精一杯やって死んでいく姿が最後まで描かれています。
そんな「無職転生~異世界行ったら本気だす~」の魅力が少しでも伝わるように、これから丁寧に紹介していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
以上、「無職転生」第1話「無職転生」の感想と解説でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
アニメ「無職転生」第1話はコミックス1巻に収められています。
コメント