アニメ「無職転生~異世界行ったら本気だす~」第5話のあらすじと感想をまとめています。
感想には独断と偏見と原作をもとにした解説と、軽いネタバレが含まれていることをご了承ください。
第4話「緊急家族会議」おさらい
- パウロの仕業でゼニスとリーリャが妊娠して、グレイラット家が修羅場を迎える
- ルーデウスの機転で家族崩壊の危機が回避され、リーリャとお腹の子どもが救われる
- ノルンとアイシャが無事に誕生、ルーデウスは魔術と剣術に行き詰まりを感じる
- ルーデウスがラノア魔法大学への入学を希望し、学費のために仕事の斡旋を依頼する
- ルーデウスはパウロに気絶させられ、ギレーヌに馬車でどこかへ連れていかれる
第5話「お嬢様と暴力」感想と解説

第5話「お嬢様と暴力」あらすじ
パウロによってロアの町に送られたルーデウスは、パウロの知り合いであるギレーヌに連れられ、ボレアス家の息女・エリスの家庭教師を務めることになった。
しかし、そのエリスは一筋縄ではいかない暴れん坊お嬢様で、ルーデウスは傍若無人なエリスを躾けるため、ある計画を実行するのだが・・・。
引用元:dアニメストア
アニメ「無職転生」第5話はライトノベル2巻に収められています。
ルーデウス5年間の帰省禁止
馬車の中でギレーヌはルーデウスにパウロからの手紙を渡す。
「読め。わたしは読めんから口に出してな」
パウロの手紙には「これから5年間、ロアでお嬢様の家庭教師をすること」と書いてあった。

「そのあいだは家族やシルフィエットに会うことや手紙を書くことを禁止する」ということも。
禁止の理由は、「ルーデウスがシルフィエットに依存し始めているように感じたからで、それはシルフィエットにとってもよくないと判断した」ということだった。
パウロの手紙は「働き、金を稼ぎ、自立した生活を送ることで、より一層立派な人間になれることを楽しみにしている」と締めくくられていた。
ルーデウスは未練を残しながらも、覚悟を決めてロアへ向かう。
ロアはフィットア領で最大の町で、ブエナ村から馬車で6~7時間ほどの距離にあります。
400年前の戦争(ラプラス戦役)では最終防衛ラインとして機能していた場所で、町の周囲を高さ7、8メートルの壁で囲まれている城塞都市です。
そのロアでルーデウスが12歳になるまでの5年間、家庭教師として働き、ラノア魔法大学にシルフィエットと入学するための資金をためろ、ということでした。
なぜ12歳になるまでかというと、パウロが家を出たのが12歳なので、ルーデウスにも12歳という制限を設けたようです。
ルーデウスの家庭教師の給料は、月にアスラ銀貨2枚(約2万円)です。
ルーデウスはお嬢様とギレーヌに読み書き、算術、魔術を教え、ギレーヌから剣術を教えてもらうという契約のようです。
剣王から剣術を教えてもらえるのは悪くない条件ですよね。
剣王という称号がどれだけすごいかというと、剣神流には七階位あって、上から剣神、剣帝、剣王、剣聖、上級、中級、初級なので、ギレーヌは上から三番目の位になります。
パウロも岩を木剣で斬るほどのすごい腕前でしたが(それでも上級ですから)、ギレーヌは想像できないほど強いのではないでしょうか。
ちなみにギレーヌはお嬢様の剣術の教師と護衛の給料として、月にアスラ金貨2枚(約20万円)をもらっています。
しかしパウロ、ルーデウスに年に一度の帰省くらい、せめて手紙のやり取りくらいは許してやってもいいんじゃないでしょうかね。
自分は欲望の赴くまま生きてきたくせに、息子にはちょっときびし過ぎると思います。
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獣族メイド大好き貴族
着いた屋敷では多くの獣族のメイドが仕えていた。
ルーデウスはフィリップ・ボレアス・グレイラットに貴族式の挨拶を教わる。

フィリップはロアの町長で、パウロの従兄弟に当たるという。
ルーデウスはパウロが自分の家のコネを使ったことに気づいた。
そしてパウロがこんなに身分の高い家の出身だったことに驚く。
「それで、話はどこまで聞いてる?」とフィリップが尋ねると、ルーデウスは「5年間ここでお嬢様に勉強を教えれば、魔法大学への入学金を援助してもらえる、と」と答えた。
するとフィリップは「それだけ?」といい、ため息をついて「まったく、あいつは相変わらずだ」「まあいい、とにかくまずは娘に会わせよう。話はそれからだ」といった。
ルーデウスは「はあ・・・」と不安げに返した。
ルーデウスが家庭教師として働くボレアス家は、アスラ王国でも名門の貴族でした。
ボレアス家の男性は獣族の女性が大好きなので、獣族のメイドがたくさん仕えています。
獣族の出身地はミリス大陸北東部にある大森林です。

獣族はアスラ王国のある中央大陸やベガリット大陸にも多く住んでいます。
獣族は高い敏捷性と筋力、鋭敏な五感を持つ狩猟民族で、ギレーヌのような猫型のデドルディア族、犬型のアドルディア族、うさぎ型のミルデット族、猿型のロッカ族がいます。
フィリップ・ボレアス・グレイラットの声は、小野大輔(おのだいすけ)さんが担当しています。
小野大輔さんの代表作には、「進撃の巨人」のエルヴィン・スミス役や「黒執事」のセバスチャン・ミカエリス役などがあります。
フィリップは一見うさんくさい雰囲気がありますが、ボレアス家では一番まともな人物です。
パウロとは昔から仲がよく、パウロにブエナ村の駐在騎士の仕事を与えたり、ルーデウスを家庭教師として雇ったりしています(この時点ではまだ採用試験中ですが)。
フィリップは過去に一度だけギレーヌに妾(めかけ)にならないかと誘ったことがあるそうですが、あのギレーヌを妾にしようと思うなんて、フィリップの獣族好きは筋金入りのようです。
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暴力系お嬢様エリス
フィリップがエリスの部屋へ向かいながらルーデウスに話しかける。
「その歳ですごく優秀だそうじゃないか」
「師匠の指導の賜物です」
「ずいぶんとできたことをいうね。かわいい娘がたぶらかされないか心配だよ」
「僕は7歳ですよ?」
「パウロにも伝えたんだが、うちの娘はすこぉしだけワガママでねぇ。ごく一部以外の人間に懐かないんだ。きみにも期待はしていない。パウロの頼みだから試してみるだけだ」
「ずいぶんとはっきりいいますね」というルーデウスに、フィリップは「自信があるのかい?」と聞く。
ルーデウスは「実際に会ってみないとわかりませんが・・・」と返して、当のエリスと対面した。

(苛烈。一目見た瞬間そう思った。俺の五感すべてが赤信号を灯している!)
第一印象でルーデウスは怯みそうになるが、意を決して「はじめまして。ルーデウス・グレイラットです」と貴族式の挨拶をした。
エリスは腕を組んで、「なによ! 年下じゃないの!」と不満をあらわにする。
「歳は関係ないと思いますけど・・・」
「なに? わたしに文句あるわけ!?」
ルーデウスが「でもお嬢様は、僕ができることができないわけです・・・」と意見すると、いきなり頬を叩かれ、「生意気よ! わたしを誰だと思ってるの!?」と怒鳴られた。
(第二印象は乱暴だ)
ルーデウスが「なんで殴るんですか?」と聞くと、エリスは「年下のくせに生意気だからよ」と返した。
ルーデウスは自分の手の平を一度見てから、エリスの頬を叩き返す。
ルーデウスとエリスのやり取りを後ろで見ていた大人たちが、「ほう」と感心する。
「これで人に殴られる痛みがわかりました・・・」
ルーデウスがいい終わらないうちに、ルーデウスの顔にエリスのこぶしが飛んできた。
怒り心頭に発したエリスは殴り倒したルーデウスに乗りかかり、「誰に手を上げたか後悔させてやるわ!」と何発も殴りつける。
ルーデウスは上に乗ったエリスを風魔術で吹き飛ばすと、「パウロめ! なんてところに送り込むんだ!」と悪態をつきながらその場から逃走した。

「待ちなさい! すり潰してやるわ!」と叫びながら追いかけてくるエリス。
ルーデウスはテーブルの下に隠れ、震えながら思う。
(少しだけわがまま? 馬鹿いうんじゃない!)
(あれは俺の知ってるお嬢様とは違う!)
(あれは、不良漫画の主人公だ!)
フィリップの一人娘はエリス・ボレアス・グレイラット、9歳です。
エリスの声は、加隈亜衣(かくまあい)さんが担当しています。
加隈亜衣さんの代表作には、「ハイスクールD×D」のロスヴァイセ役や「アイカツ!」の音城ノエル役などがあります。
エリスは家庭教師を今まで5人以上解雇していて、現在は礼儀作法のエドナ先生(エリスの乳母でした)と剣術のギレーヌ先生の二人だけが雇われています。
そこに2歳も年下のルーデウスが読み書きと算術、魔術の教師としてやってきたわけですから、エリスは我慢ならなかったのでしょう。
しかし初対面で年下のルーデウスをためらいなく殴る様子を見ると、暴力行為にだいぶ慣れているようです。
フィリップがルーデウスにそれほど期待していないといったのは、解雇した人物の中にはアスラ王都で教師をしていた男性もいたので、子どものルーデウスではなおさら難しいと考えたからのようです。
そしてフィリップがルーデウスに「かわいい娘がたぶらかされないか心配だよ」といったのは、パウロからもらった手紙に「村で女遊びが激しすぎるから隔離した」と書いてあったからです。
それはシルフィエットとべったりだったことを指しているのですが、パウロの書き方もどうかと思いますが、フィリップも「たぶらかされないか心配」って、精通もしてなさそうな男の子に釘を刺すなんてこちらもどっこいですよね。
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ルーデウスの計画
エリスから逃げきったルーデウスがフィリップのもとへ戻ってきた。
フィリップがあきらめるかと聞くと、ルーデウスは「あきらめません。のこのこと帰ったとなると、父様に笑われるのが目に見えていますので」と答えた。

フィリップはルーデウスの覚悟に「おお、よくいったねぇ」と拍手しながら感心し、なにか策でもあるのかと尋ねる。
(魔術を使えばボコボコにできるだろう。いや、それはだめだ)
(喧嘩で勝ってもいうことを聞いてくれるわけがない)
(下手すりゃ、やられた10倍以上の仕返しをしてくる)
(冗談じゃない! 治癒魔術だけは、しゃべれないと唱えられないんだ)
そう考えたルーデウスは、「ひと芝居打ってみてはどうでしょう? お嬢様に自発的に勉強をしたいと思わせるんです」と提案する。
フィリップは身を乗り出して、「ほお。くわしく聞かせてくれ。協力なら惜しまないよ」と興味を示した。
ルーデウスたちがひと芝居の内容について話し合っている姿を、フィリップの後ろに控えた体の大きい執事が黙って聞いていた。

ルーデウスがエリスを「凶暴な生き物」呼ばわりしてフィリップが「んん?」と反応していますが、エリスは乱暴すぎて学校から来ないでくれとお願いされるほどの「凶暴な生き物」でした。
さもありなんという感じですが、町長の娘であり領主の孫娘でもあるエリスを登校禁止にさせるなんて、よほどの暴れっぷりだったんでしょうね。
ルーデウスが「治癒魔術だけはしゃべれないと唱えられないんだ」といっていますが、魔術を無詠唱で行う場合は頭の中で魔術をイメージする必要があるそうです。
しかしルーデウスは損傷した人体が回復する仕組みが頭の中でイメージできないので、詠唱しなければ治癒魔術を使えない、といっているのです。
ルーデウスたちの企みを後ろでこっそり聞いていた体の大きな執事はトーマスといいます。
トーマスの声は山本祥太(やまもとしょうた)さんが担当しています。
山本祥太さんの代表作は、「ガンダムビルドタイバーズ」のナッツ役や「グランクレスト戦記」のグラッグ役などがあります。
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御神体は村に置き去り
ルーデウスが部屋のベッドに寝転がって考える。

(策は練った。うまくいけばいいが)
(生前みたく、殴られて叩き出されるのはもういやだ)
(失敗は許されない)
(ああ、御神体が村に置き去りだ)
ルーデウスはロキシーからもらったお守りを両手で握りしめ、「神様、どうか、成功に導いてください」と祈った。
ルーデウスに与えられた部屋はお客さん用の部屋でした。
エリスの家庭教師として招かれたルーデウスは、本来なら雇用人用の部屋を与えられるのですが、一応グレイラット家の者なので、それなりの部屋に案内してもらったようです。
ルーデウスは生前みたいに殴られて叩き出されるのはもういやだと思っていますが、生前されたことは自業自得であり、殴られて叩き出されて当然のことをしていました。
今回とは事情がまったく違うのですが、一度味わった屈辱と恐怖はなかなか消えないということのようです。
いきなりパウロに襲われて馬車に放り込まれてロアに来たので、御神体(ロキシーの下着)を持ち出す機会なんてなかったですからね。
ルーデウスが祈った神様とはロキシーのことで、原作では「神様」と書いて「ロキシー」とルビが振ってありました。
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誘拐されたルーデウスとエリス
ルーデウスが目覚めると、手を縛られて木箱の中に押し込められていた。
木箱から出たルーデウスは、物置のような部屋に閉じ込められていることがわかった。
(それなりに、きれいなところだって話だったが・・・)
(ま、雰囲気はあったほうがいいか)
(あとはここから、魔術と知識を駆使して、脱出、帰宅する)
(勉強の大切さを存分に思い知ってもらうぞぉ。むははははっ)
ルーデウスが目が覚めたエリスに挨拶すると、エリスは後ろ手に縛られていることに気づいて「なによ、これ!」と叫んだ。
ルーデウスは芝居がかった口調で「どうやら僕たちは拉致監禁されてしまったようですぅ。ああ、魔術が使えたら、簡単に縄を焼き切ることができるのに」といい、エリスに火魔術で縄を焼き切って見せる。
エリスは「ふっざけんじゃないわよぉ!」「ギレーヌ! ギレーヌはどこ!?」と大声で叫びながら部屋の扉を激しく叩く。
するとスキンヘッドの大男が扉を乱暴に開けて、「うっせえぞ、クソガキ!」と怒鳴りながら入ってきた。

(おー、ナイスチョイス。これなら自作自演だとバレることもないだろう)
ルーデウスは両手を挙げ、大男にウィンクして合図する。
エリスが「痛いわね! 殴り飛ばすわよ!」と反抗すると、大男は「なんだ、てめぇ」と近づく。
いい演技力だと感心しながら、ルーデウスは大男にウインクを繰り返す。
「くさい! 近寄らないで! 私を誰だと思っ・・・」と叫んでいる途中でエリスは大男から蹴り飛ばされ、壁に激しく叩きつけられた。
大男は、蹴り飛ばされてもなお殴りかかってくるエリスの髪をつかんで投げ倒し、「なに調子に乗ってんだ!」「クソが! 生意気に! 歯向かいやがって!」と、容赦なく何度も踏みつけた。
(や、やりすぎじゃないか・・・?)
大男の演技を超えた暴力に、ルーデウスは不安を覚え始める。
気の済むまでエリスを痛めつけた大男は、ルーデウスを一発殴ってから部屋を出ていった。
エリスは容赦なく踏みつけられたせいで歯が折れて飛び散り、口から大量の血を流していた。
「絶対に許さない、お爺様に・・・っしつけてやる」

ルーデウスは初級の治癒魔術を使って応急処置だけした。
エリスが「ちゃんと、治しなさいよ」と不満をいうと、ルーデウスは「治したらまた叫ぶでしょう? 自分で魔術を使ってください」という。
「できないわよ、そんなこと」
「習っていればできましたねぇ」
ルーデウスがそういうと、エリスは反論できずに悔しがった。
ルーデウスが打ったひと芝居の内容は、誘拐されて危機に陥るも読み書きと算術と魔術で見事脱出して無事帰宅する、というものでした。
無事に帰宅したエリスは、読み書き、算術、魔術の大切さを知って、まじめに勉強するようになるだろうという目論見です。
打ち合わせのときにルーデウスは治癒魔術が使えるから多少の怪我は大丈夫と伝えてありますが、しかし大男の暴力は容赦がありませんでしたね。
エリスの折られた歯が飛び散っている描写はなかなかインパクトがありますが、あれだけやられても「絶対に許さない」とまだやり返す気力を持っているエリスも大したものです。
しかしロキシーやリーリャのオ○ニーシーンといいエリスの虐待シーンといい、この作品のぶっ飛び具合には驚かされます。
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脱出したルーデウスとエリス
ルーデウスたちを閉じ込めたとなりの部屋で、大男と長髪の男が話している。
「殺してねぇだろうな。あんまり傷つけるんじゃねぇぞ」
「ああ。まあ最悪、男のガキだけでもいいんじゃねぇか?」
(よくねぇよ)
ルーデウスは扉に耳をつけて男たちの話を聞きながら考える。
(迫真の演技、だったらいいが、そうでもなさそうだ)
(魔術でぶっ飛ばしてみるか?)
(しかし、実力がハッキリわからない以上、それは危険だ)
(それにお嬢様に、結局は暴力だと思われてしまうのもよくない)
(あとでずっと殴られるはめになってしまう)
(まあいい。どちらにせよ、俺のやることは変わらない)
ルーデウスは窓にはまっている鉄格子を土魔術で外し、「それでは僕は死にたくないので逃げます。さよなら」とエリスにいう。

「助け、なさいよ!」というエリスの声に、男たちが「うるせえっていってんだろう!」と怒鳴り、扉を開けようとする。
ルーデウスは扉の前に土魔術でバリケードを作り、扉が開かないようにした。
「おい、開かねえぞ」といいながら扉を激しく叩く大男。
「置いていかないで」と懇願するエリスに、ルーデウスは「得意の暴力であいつらを倒せばいいじゃないですか」と突き放したようにいう。

扉とバリケードが激しく叩かれ、今にも破られそうな様子をうかがいながら、ルーデウスは「暴れない、大声を出さないって約束できますか?」とエリスに確認する。
大男と交替した長髪の男が、扉とバリケードをぶち破った。
男たちが部屋に入ると、ルーデウスとエリスはすでに部屋から脱出していた。
誘拐犯たちはグレイラット家の回し者ではありませんでしたね。
しかしここまでほぼ計画通りだったので、本物の誘拐犯だとわかってもルーデウスは特にあわてていません。
ここからも計画通り、読み書きと算術、魔術を使って、捕らわれた部屋から脱出してロアへ帰るだけです。
ルーデウスは窓にはめられた鉄格子を土魔術でサラサラッと外していましたが、土でできているレンガを元の土に戻したという表現でしょうね。
アニメでは扉の前にバリケードを作って扉を開かないようにしていますが、原作ではドアノブに魔術で細工をして扉を開かないようにしています。
ドアノブに細工よりバリケードにひびが入る表現のほうが緊迫感があってよかったと思います。
傲慢で学習能力が低いエリスもさすがにあれだけ痛めつけられると命の危険を感じたようで、ルーデウスの念押しにおとなしく従ったようです。
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戻ってきたルーデウスとエリス
夜更けの路地裏で、ルーデウスが中級の治癒魔術エクスヒーリングでエリスを治療する。
怪我が治ったエリスは「よし、ここまで来れば大丈夫ね!」といつもの大声で話す。
ルーデウスは周囲をうかがいながら「大声を上げないって約束したじゃないですか」と咎めると、エリスは「なんでわたしがあんたとの約束を守らなきゃならないの!」といつものように腕を組んでふんぞり返る。
ルーデウスは心の中で「このガキャ!」と憤慨するが、「そうですか。じゃあここでお別れですね。さようなら」と平静を装ってエリスから離れる。

「ふん!」と腕を組んで強がるエリスだったが、男たちの「どこ行った! 出てこい、クソガキ!」という声が聞こえてきて、あわててルーデウスのあとを追う。
エリスが「さ、さっきのは嘘よ。もう大声は出さないわ」というと、ルーデウスは「そんなこといって、すぐに約束を破るんでしょう?」と疑う。
「僕のいうことが聞けるなら、ついてきてもいいですよ」というルーデウスに、エリスは黙って従う。
二人が誘拐されてきた場所は、ロアのとなり町だった。
ルーデウスが字が読めると便利だし、算術ができると一人で家に帰れるとエリスにいうと、ならあんたが全部やればいいじゃないと返す。
ルーデウスは僕は召使いでも使用人でもないんですがといい返すと、エリスは家庭教師でしょという。
ルーデウスはお嬢様が気に入らないといったのでまだ雇ってもらってませんと返すと、エリスは何もいえずに口ごもった。

ルーデウスとエリスがロア行きの乗り合い馬車に緊張した様子で乗っている。
二頭の早馬が乗り合い馬車を追い越していくが、追ってきた誘拐犯ではないとわかって安心する。
乗り合い馬車がロアの城壁をくぐった。
治癒魔術には初級のヒーリング、中級のエクスヒーリング、上級のシャインヒーリングがあり、ルーデウスは中級治癒魔術まで使えます。
エクスヒーリングは骨折やちぎれかけた腕や足も治せるほどの効果があるので、エリスは完全復活しました。
痛いところがなくなった途端いつもの調子に戻るエリスにイラッときたのは、ルーデウスより視聴者だったのではないでしょうか。
ルーデウスたちがさらわれてきた場所はウィーデンという町でした。
アニメでは二人がさらわれてきた町はロアから一つ離れたとなり町ですが、原作ではロアから二つ離れた町という設定です。
なのでアニメでは乗り合い馬車に一本乗っただけでロアに着いていますが、原作ではあばら屋みたいな宿に一泊して、乗り合い馬車を二回乗り継いでやっとロアに着いています。
ルーデウスの計画でも、誘拐された場所から乗り合い馬車で帰ってくる予定だったので、あらかじめパンツの中にお金(乗り合い馬車用の料金)を隠し持っていました。
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再度誘拐されるエリス
ルーデウスとエリスはロアに着いた。
眠そうにしているエリスを見ながらルーデウスが思う。
(安心したら眠気がきたか)
(多少の行き違いはあったが、大体は、計画通り)
(少しは俺のことを認めてくれた、と、思いたい)
するとルーデウスの行く手に、ボレアス家の体の大きい執事がランプを持って立っていた。
知った顔に安心したルーデウスは執事に駆け寄る。
エリスも駆け寄ろうとしたとき、口をふさがれて路地に連れ込まれた。

ルーデウスは誘拐犯を追いかける。
路地の細い通りを逃げる誘拐犯の前に、土魔術で壁を作って行き止まりにした。
逃げ場のなくなった誘拐犯は剣を抜き、「なんだ、ガキぃ。おとなしてしてりゃ家に帰れたのによぉ」とルーデウスに怒鳴る。
ルーデウスが手の平にファイアボールを保留させて、誘拐犯に「その女の子を返してください」というと、後ろから「それはできません」という声が聞こえた。

ルーデウスが振り向くと、執事が「エリスお嬢様には、行ってもらわねばならないところがあるのです」という。
長髪の誘拐犯が「おまえ、思ったより魔術が使えるみたいだな。こっちにつけよ。分け前をやろう」とルーデウスを誘う。
ルーデウスが「それは具体的にはいくらぐらい?」と聞くと、執事が「アスラ金貨100枚でいかがですか?」と答えた。
ルーデウスが「それは、魔法大学の入学金二人分よりも高いんですか?」と重ねて聞くと、執事は大笑いして、「そうですね。10人入ってもお釣りがくるでしょう」と答える。
ルーデウスは「なるほど。それは魅力的ですね」と納得する。
執事は「私はさんっざんそこの娘からひどい目に遭わされましてねぇ。あなたも家庭教師になれば、きっと同じ目に遭わされますよ」とルーデウスに忠告する。
長髪が「そんな歳でも金の大切さはわかるだろう。わかったらその手をゆっくり上にあげてくれ」というと、ルーデウスは「ええ、しかし、お金よりも大切なこともわかってるつもりです」と答える。
「きれい事を抜かしてるんじゃねぇ!」と長髪が怒鳴ると、「きれい事じゃありません」とルーデウスは即座に否定した。
(思えば、俺は今まで、金の心配などまったくしない生活をしていた)
(20年近いニート生活、エロゲとネトゲにまみれた俺の半生)
(そのせまい経験でならわかる)
(ここでお嬢様を裏切ることの意味、ここでお嬢様を助けることでつながる展開)
手の平にファイアボールを保留させたまま、上空に腕をあげたルーデウスが叫ぶ。
「金じゃデレは買えないんです!」
長髪は意味がわからず、「はああ!?」と怒鳴る。
(おっとしまった、本音が漏れた)
ルーデウスがファイアボールを空に向かって打ち上げると、上空で花火のように爆発した。
花火のようなファイアボールは裏通りを明るく照らし、ルーデウスや誘拐犯たちに火の粉を降らせた。
派手できれいなファイアボールにエリスが見とれる。

ルーデウスが打ち上げたファイアボールを見て、一人の影が尖塔の上から動いた。
執事のトーマスの積年の恨みはなんとなくわかります。
今まであのエリスにさんざん振り回されてきたんでしょうね。
トーマスがいっていた「(エリスが)行ってもらわねばならないところ」は、「身分の高い娘を高く買い取ってくれる変態貴族」のもとです。
だからアスラ金貨100枚(約一千万円)という破格の金額が出せたんでしょう。
変態貴族はアスラ王国の上級大臣、ダリウス・シルバ・ガニウスで、のちほどエリスたちと深く関わることになります。

ダリウスはエリスを以前見かけたときに気に入り、「あの勝気で生意気な野獣を思うさまに蹂躙したい」と思っていたそうです。
そのダリウスとつながりのあるトーマスは、ルーデウスとフィリップのひと芝居の筋書きを後ろで聞ききながら、これはチャンスだ!と思ったんでしょうね。
トーマスの「10人入ってもお釣りがくるでしょう」という言葉から、ラノア魔法大学の入学金はアスラ金貨10枚(約100万円)以下ということがわかりました。
確かに下級貴族であるパウロは何とか出せても、猟師を営むシルフィエットの家では難しい金額です。
ルーデウスが打ち上げた花火は、ファイアボールの中にもう一つ特殊なファイアボールを入れて、派手に爆発するようしたものでした。
この世界に花火はないようで、誘拐犯たちは花火に気を取られ、エリスは花火の美しさに見とれていたというわけです。
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剣王ギレーヌの実力
誘拐犯たちがファイアボールに気を取られている隙に、ルーデウスは駆け寄りながらストーンキャノンを放つ。
長髪はストーンキャノンを両断するが、一発目のそれは目潰しだった。
エリスを抱えている大男の股間に、土魔術で下から痛恨の一撃を与える。
ルーデウスが大男に「すまんねぇ」と謝りながら、二発目のストーンキャノンを長髪に打つがまたも両断された。
大男が股間の痛みに我慢できずエリスを手放したところを、ルーデウスが滑り込んで受け止める。
ルーデウスは爆風を使って高く跳び、空中から長髪にファイアボールを三発打った。

長髪が「こざかしい!」と叫び攻撃しようとするが、ルーデウス得意の土魔術で足元が固められていた。
(よし、勝った!)
ルーデウスはそう思ったが、長髪は飛んできたファイアボールを難なく斬り捨てる。
そして「逃がすかあ!」と叫んで、持っていた剣を投げた。
(破れかぶれじゃない! パウロがいっていた)
(北神流には剣を投げる技があると!)
屋根の上を四足で素早く移動するギレーヌ。
投げられた剣が回転しながら目前に迫ってきて、ルーデウスは思わず目をつぶる。
駆けつけたギレーヌが間一髪でその剣を砕く。
ギレーヌは着地した瞬間に剣技を放ち、誘拐犯たちを斬った。

耳をつんざく高音が鳴り、ルーデウスとエリスは耳を両手でふさぐ。
エリスはギレーヌを見て駆け寄るが、ルーデウスは首がはねられた死体を目の当たりにして戦慄する。
ルーデウスはギレーヌに何度か名前を呼ばれてやっと我に返った。
ギレーヌが「敵はこれだけか?」と尋ねると、ルーデウスは「はい。ありがとうございます」と答えた。
「いきなり爆発が起こったので見に来たが、正解だったな。しかし一体なにがあった? 二人で出かけるとは聞いていたが・・・」
執事が「ギ、ギレーヌ・・・」とつぶやいて尻餅をつく。
ルーデウスは誘拐犯の死体から流れてくる大量の血を見て恐怖した。
ストーンキャノンは中級の土魔術で、ルーデウスが得意とする攻撃魔術です。
斬ったら目潰しになるようにしたり、中に火薬を込めて爆発させたり、サイズや飛ぶ速度を変えたりと多様な攻撃パターンを持っています。
ギレーヌが繰り出した技は剣神流の奥義「光の太刀(ひかりのたち)」です。
両手で剣を持ち、体中の闘気を一振りにつぎ込んで放つ必殺の技で、極めれば剣先は光の速さにまで達するといわれています。
ギレーヌの光の太刀はネガポジを反転させたようなエフェクトでかっこよかったですね。
ルーデウスの魔術を簡単に弾いていた長髪の誘拐犯は、北神流の上級剣士でした。
剣王ギレーヌには抵抗する間もなく首をはねられてしまいましたが、なかなか手強い相手でした。
ルーデウスは目の前で人が首をはねられる光景に衝撃を受けていましたが、エリスは特に気にすることのない様子でしたね。
前世の記憶があるルーデウスとこの世界で生きてきたエリスでは、人の生き死にに対する感覚がだいぶ違うことを表現していたようです。
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ルーデウス家庭教師になる
明け方、ルーデウスたちがボレアス家の屋敷に帰ってきた。

心配していたフィリップはエリスに駆け寄り、ルーデウスに「なにがあった?」と険しい表情で詰問する。
ギレーヌが縛られた執事をフィリップの前に投げると、執事は「フィリップ様、これは違うんです! 誤解なんです!」と必死に弁明した。
フィリップが「そういうことか。連れて行け!」と叫ぶと、ギレーヌが執事の髪をつかんで引きずっていった。
「大丈夫かい? エリス」と心配するフィリップの手を払い、ヨロヨロと立ち上がるエリス。
「家に帰るまでって約束だったんだから、もうしゃべってもいいわよね!?」
ルーデウスは「ああ、はい。もういいですよ・・・」と答え、考えた。
(失敗か。まあ、失敗だよな)
(策に溺れて、結局ギレーヌに助けられたんだ)
(どうしようもない。死ぬ寸前だった)
(ギレーヌが来なければ、間違いなく死んでいた)
(今まで、考えもしなかったが、もし、次に死んだら、俺はどうなるのだろう)
ボレアス家の屋敷に背を向けて歩き出したルーデウスに、エリスが「待ちなさい!」と声をかけた。
ルーデウスが振り返ると、エリスがいつものように腕を組んで、足を肩幅に開いて立っていた。
「特別に、エリスって呼ぶことを許してあげるわ! 特別なんだからね!」
「ってことは、つまりオッケーってことですか。ここで働いてもいいってことですか?」
ルーデウスがそう尋ねると、エリスは「ふん!」とそっぽを向いて返事した。

ルーデウスが「ありがとうございます、エリス様」というと、エリスは「様はいらないわ。エリスでいい!」と返した。
ルーデウスは笑顔になって、屋敷に戻りながら考えた。
(さっきの選択肢で、好感度が上がったのだろうか)
(それとも、家庭教師にしてから仕返しでもするつもりだろうか)
(まあどちらにせよ、ひとまず今は、生まれて初めての職に就けたことをよろこんでおくとしよう)

ボレアス家の屋敷に着いたエリスはもうヘロヘロでしたね。
9歳の女の子がさらわれて、ボコボコにされて、逃げ出して徹夜で移動して、またさらわれて、何度も死ぬ思いをしたわけですから、家についたら気が抜けてヘロヘロになるのも当然です。
ギレーヌに引きずられてきたトーマスが「フィリップ様、お許しを」とかいっていましたが、かわいい娘を変態貴族に売ろうとした罪が許されるはずがありません。
エリスも屋敷に着くまでのあいだにいろいろ思うところがあったようで、策におぼれて失敗したと落ち込むルーデウスに、エリスらしい表現でルーデウスが家庭教師になることを認めました。
ルーデウス(と前世の男性)の初めての就職試験が、無事に合格したようでよかったですね。
オルステッドについてのくわしい記事はこちら
まとめ:第5話の感想と解説について
今回は、第5話の感想と解説についてまとめました。
- ルーデウスはフィットア領ロアの貴族のお嬢様の家庭教師として5年間働くことなる
- フィリップの娘エリスは年下の家庭教師ルーデウスが気に入らず容赦なく暴力をふるう
- ルーデウスとフィリップはエリスが自発的に勉強するように、ニセの誘拐計画を立てる
- 手違いでエリスは本物の誘拐犯にさらわれるが脱出、ロアに着いて再度さらわれる
- 危機の二人はギレーヌに助けられ、ルーデウスは無事にエリスの家庭教師になった
第5話で初めて殺るか殺られるかの本格的な剣術が披露されました。
ルーデウスはひと芝居打ったつもりが、手違いで大変な目に遭ってしまいましたね。
ギレーヌが間に合っていなかったらと思うとぞっとします。
何はともあれ、ルーデウスが無事にエリスの家庭教師になれてよかったです。
フィリップはエリスを「少しだけわがまま」と評していましたが、そんなかわいいレベルではありませんでした。
エリスがあれほど傍若無人な振る舞いをするようになったわけは第6話で判明します。
以上、「無職転生」第5話「お嬢様と暴力」の感想と解説でした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
アニメ「無職転生」第5話はコミックス2巻に収められています。
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